今年はたくさんの人が不安と苦しみの中で旅立ち、その一人一人の旅立ちに
更に大勢の人たちの引き裂かれるような痛みと悲しみが溢れ、命を繋いでゆ
くことが難しくなるほど生活が苦しくなってしまった人たちも急増し、
ニュースなどで表現されるもの、数字ではとらえることのできない現実の中、
それでも日常を継続してゆかなければ生きてゆけない私たちは、何もない
ように電車に乗り、仕事をし、家に帰ることを「距離をとりながら」
一年繰り返しました。
本当の意味で変化をするということは、命を落とすこともあるくらい
大変なことで。それを私たちは知っているのかもしれない。
できるだけ変わらずに生きてゆけるように
と、現実からも距離を置いて、都合のよい解釈をしながら爪先を見て、
マスクをつけて歩く毎日。
いつか私たちは何の準備もないまま変わらざるを得ない状況まで追い込まれ、
命をぎりぎりにして新しい命の時代に入っていくのかもしれず。
そんなとき、私たちは本当に変化を遂げて生き残っていける生物なのだろうか。
人間がマスクをとって、街へ出る時代へ。
これは人類とかSF小説のように壮大な物語としてではなく、個人的な
とても個人的な物語として、たまには真面目に考えたい。